本と対話と哲学と

テツドク!@東京のアーカイブ

2020年1月13日 西田幾多郎『善の研究』

日 時: 2020年1月13日(14時~16時30分)

講 師: 大熊 玄さん(立教大学

場 所: 東京ウィメンズプラザ(渋谷)

テーマ: 宗教的要求について

参加者数: 13名

 



参加者のコメント

・とても参考になり、また楽しめました。

・とても楽しかったです。

・楽しかった。

・みんなが発言できて素晴らしい。

 

参加者からリクエストのあった哲学者・本・テーマ

ジェンダー鈴木大拙、宗教がらみのテーマ、デカルト

 

★概要

参加者は15名だったが、アンケートの回答者は13名だった。

会場の閉鎖が17時のところ、17時ギリギリまで会が延長したため、アンケートにあてる時間がほとんどなく、回答率が低くなってしまったものと思われる。

したがって、感想やコメントなどの書き込み欄も空欄が多かった。

満足度は高水準だったが、参加費は高いとする参加者がいた。

高いにチェックした参加者は「時間が足りなかった。時間を倍にしてもらえたら。」との書き込みがあったことから、内容自体よりもやりきれなかった点に不満があったと推測できる。

「宗教とは何か」といった深いテーマは深堀すればするほど、問いが広がっていく傾向があるので、対話を「やりきる」ことは相当な時間があっても無理だったと思う。

今回は前半の講師によるレクチャーは従前どおりだったが、後半は好評だったニーチェの回を踏襲し、参加者によるテーマの選定、選定したテーマでの議論、最後に一人ずつ感想を述べる、という方法を用いた。

このやり方はおおむね好評で、手ごたえも感じられた。

 

 

2019年11月2日 アーレント『活動的生』

日 時 : 2019年11月2日(14時~16時30分)

講 師 : 三浦 隆弘さん(椙山女子大学)

場 所 : 田園調布 富士見会館

テーマ : 『活動的生』から第5章「行為」を読む

参加人数: 5名

 

参加者のコメント

・赦しと約束は不可分かなと思った。

・少人数であったので、討論は短時間でしたが、充実していたと思います。

・ゆるす、ゆるさないは取り返しがつかなさの度合いにかかわってくるかなと思いました。

 

参加者からリクエストのあった哲学者・本・テーマ

アリストテレス形而上学』、『過去と未来のあいだで』、カント『判断力批判』、ウィトゲンシュタイン、カール『西洋政治哲学の伝統』

 

★概要

参加者が6名とかなり少人数だった。

前回同様、3連休の初日という日程とシリーズ7回目ということもあり、出足が鈍ったのではないか。

1冊の哲学書を1回で終わらせることは不可能なので、シリーズになってしまうのは仕方がないが、初めての参加者には敷居が高くなってしまうという難点が生じているように思える。

できるだけ、誰でも参加できるよう、過去回のダイジェスト版的な資料も配布したが、事前にイベント紹介の時点でその旨を告知しておいたほうがよいかもしれない。

参加者の満足度は少人数でも落ちてはいないが、講師のモチベーションが下がり勝ちなので、せめて参加者10名程度は確保したいところ。

2019年9月14日 ライプニッツ『モナドロジー』

日時:   2019年9月14日(14時~16時30分)

講師:   佐々木 能章さん(東京女子大学

場所:   田園調布会館

テーマ:  モナドとは何か?

参加人数: 6人

 

参加者のコメント

モナドジーを読むモチベーションが高くなりました。

・可能ならば、もう1回お願いしたい。

・はじめてモナドジーが少しわかりました。

 

参加者からリクエストのあった哲学者・本・テーマ

アリストテレス形而上学

アリストテレス

マルクス・アウレリウス

 

★概要

参加者が6名と過去最少だった。

モナドジー自体、かなり抽象度の高い問題設定であり、日常的感覚、生活実感とは遠いテーマのため、一般的な訴求力が低かったのか、連休の初日だったためか、あまり参加者を集められなかった。

内容自体は満足度が100%、とても満足が50%と極めて高水準であり、参加者には好印象だった。

モナドジー』はライプニッツが生前刊行した唯一の哲学書である『弁神論』を読者の要望に応えて書き直した草稿であり、ライプニッツ自身が取りまとめて出版したものではない。

今回は『モナドジー』でも『形而上学叙説』でも取り上げられていた「都市の比喩」を中心に講義と対話が行われた。

 

 

 

2019年7月15日 JSミル『自由論』

日 時: 2019年6月30日(14時~16時30分)

講 師: 島内 明文さん(東京大学

場 所: 東京ウィメンズプラザ(渋谷)

テーマ: 自由であるとはどういうことか

参加人数: 12名

参加者のコメント

・ディスカッションは興味深かった

・初めて哲学カフェに来てみたが、いろいろな意見や新しい概念、キーワードがとても楽しかったです。

・難しいテーマだったので、なかなか議論が活性化しなかったのが少し残念。

・こういうテーマで島内先生の話が聞きたい。

・後半、議論をメインにしていて、楽しかったです。

・すごく楽しかったです。

 

参加者からリクエストのあった哲学者・本・テーマ

・現代の哲学者

・真実存主義

アリストテレス倫理学形而上学

・マックス・ウェバー

 

★概要

全般的に満足度の高い回だった。

前半の講義と後半のディスカッションに対する評価は分かれたが、やや後半のディスカッションを推すコメントが多かったか。

ディスカッションは一つのテーマを掘り下げるというよりも、幕の内弁当的にいろんな意見がポツポツでてくる形で進行したので、見方によってはテーマが深まらなかったと思えたかもしれない。

ただ、「自由」というテーマの間口の広さ、切り口の多様性を考えれば、参加者がそれぞれの立場から自由に意見を表明しあう場で、同じテーマを深堀りする対話にならなかったのは、自然の成り行きだったともいえる。

 

前半の講義では「自由」の概念把握の在り方への言及に続き、アクチュアルな政治状況への応用に関する講師の舌鋒が鋭く、参加者の興味を引き立てた面はあったように感じた。

 

なお、今回も参加希望者が予定人数をオーバーしたため、途中で募集を打ち切った。

テツドクの認知度が広まってきた兆候かもしれない。

 

 

2019年6月30日 サルトル『実存主義とは何か』

日 時: 2019年6月30日

講 師: 永井 玲衣さん

場 所: 東京ウィメンズプラザ(渋谷)

テーマ: 実存主義ヒューマニズムである

参加人数: 13名

参加者のコメント

・永井さんの話、質問への対応がわかりやすく、参考になった。後半の対話も活発で、楽しい時間を過ごせた。

・難しかったですが、難しいことに悩むことに意味があると思うので、大変有意義だった。

・後半のディスカッションがよかった。

・永井さんの講義は面白くてわかりやすかったが、対話は散漫だった。

・周りの方が哲学に詳しいので、圧倒された。

・自分の意見が変化していって、面白かった。発言はあまりできなかった。

サルトルのことを全く知らずに、事前に本を読む時間もなく、不安だったが、丁寧な講義と易しい対話の問いの設定のおかげで、とても楽しかった。これから、自分で問いを深堀していくのが楽しみ。

・永井さんの説明は私の興味をとてもひくものだったし、分かりやすくて良かった。

・彼女(永井さん)はよい。

・たくさんの人のお話が聞けて良かった。

 

参加者からリクエストのあった哲学者・本・テーマ

フランクル

オルテガ『大衆の反逆』

・愛について

吉本隆明

構造主義

プラグマティズム

アリストテレス形而上学』『二コマコス倫理学

 

★概要

満足度は100%、なかでも「とても満足」が73%で、ライプニッツマルクス・アウレリウスの回(50%)を上回り過去最高だった。

他にも、参加年齢が10代から70代まで幅広い年齢層であったこと、難易度が難しいから易しいまで振れ幅が極大だったことなど、過去に例のない結果が続出した。

 

参加者コメントの内容も多様性に富み、様々な意見が見られたが、講師の講義が分かりやすくて面白かった、という点では共通していた。

後半の対話の評価は若干割れたが、こちらも好意的な意見が大勢を占めた。

 

参加人数が多かったこともあり、今回の対話は机を取り払い、椅子を円形に並べて、参加者が全体を見渡せる状態で行った。

講師の巧みなさばきもあり、対話はうまく回せていたと思う。

 

また、今回は参加希望者が多く、事前に定員(20名)に達したので、参加者の締め切りを行ったが、このような事態はアンケートを取り始めてから初めてであった。

 

 

2019年6月8日 J・Jルソー『孤独な散歩者の夢想』

日時:   2019年6月8日 14時~16時

講師:   杉田 正樹さん

場所:   東京ウィメンズプラザ(渋谷)

テーマ:  孤独について

参加人数: 11名

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参加者のコメント

・いろいろ話ができて、面白かったです。

・とても勉強になりました。幅広くご教示いただいてよかった。

・教師は教えることに関して、禁欲的であらねばならない。

 

参加者からリクエストのあった哲学者・本・テーマ

パスカル『パンセ』

・ルソー

・『自省録』

 

★概要

今回のアンケートの結果は3つの点で特徴的だった。

一つはこの企画に参加するにあたっての情報源を「杉田先生」と答えた参加者が4名いたこと。

二つ目は内容の難易度がやや難しい30%、ふつう70%とほかの回に比べて、易しさの度合いが高かったこと。

三つ目は感想欄への書き込みが少なかったこと。(3人のみ)

 

取り扱った素材がガチガチの哲学というよりエセー寄りであったため、参加者には割合取り組みやすく感じられたのかもしれない。

しかしながら、実際の講義ではルソー以外にカントの三批判書や夏目漱石の『こころ』の説明に少なくない時間が割かれており、個人的には決して理解しやすい内容ではなかったと思われる「。

 

哲学書やテーマにひかれてというより、杉田先生の関係で参加された方が多かったことは、このような傾向(感想の少なさ、難易度の印象の低さ)と関連しているのではないか、と推察できる。

 

2019年5月5日 ヘーゲル『精神現象学』

日時:   2019年5月5日 14時30分~16時30分

場所:   東京ウィメンズプラザ(渋谷)

講師:   中岡 成文さん

テーマ:  自由を突き詰めると恐怖政治になる

参加人数: 12名

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参加者のコメント

・難しかった。フランス革命に対するヘーゲルの考え方が垣間見えたと思う。
・わからないことが少しわかった気がする。

・初めに配られた「テツドクにご参加の皆様へ」がとても励みになる。

ヘーゲルが難しいので、先生の話が長いのは良かった。

・うまく対話ができる工夫も必要では。

・難解なテキストだが、先生の説明と皆さんの質問と先生の回答によって、ヘーゲルが少し近づきました。

ヘーゲルを読むことに恐ろしさを感じていたが、少し安心を感じた。

・視点をずらしながら語ること、疎外を肯定的に考えるのに、精神現象学を使いたい。

 

参加者からリクエストのあった哲学者・本・テーマ

・ルソー

ルーマンヘーゲル

ヘーゲル

・カント『判断力批判

ニーチェ

・現代哲学

・日本の哲学者

 

★概要

満足度は92%、とても満足の割合は25%となかなかの高水準だった。

一方、「難しい」の回答割合が64%と難解をもってなるヘーゲルシリーズの中でも、高難度だったことが伺える。

今回は、いつものヘーゲルシリーズより解説にかける時間が短く、解説と討論の時間配分が5分5分だった。

相対的に解説の時間が短くなった分、難しいとの印象が強くなってしまった可能性はある。

 

満足度が高く、参加費の割安感もいつもよりあったことを考えると、多少解説時間が短く、理解が追い付かなくても、討論時間が十分とれれば、コンテンツのクオリティは確保できると言えるかもしれない。

 

討論が例によって、ほぼ「質疑応答」になってしまったのは、テキストとテーマの難解さを考慮すると、仕方なかったのではないかと思う。

 

難しい質問と易しい質問のレベルにかなり差があったことから、参加者によっては自由に意見を述べるのに躊躇する雰囲気が出てしまったかもしれない。

 

討論内容のレベルの平準化、テーマの共有化は永遠の課題と考えられる。